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白山 山スキーツアー

2011/09/08 3:43 に suginami rouzan が投稿   [ 2011/09/08 3:56 に 杉労HP管理者 さんが更新しました ]

2008518日~519 

18日  晴れ時々曇り (夕方霧)

19日  晴れ

178:00PM東京―2:00AM金沢HN宅)

NHさん宅発 8:10

小松空港でYOさんピックアップ850

一之瀬発 850m 1100

別当出合い1260m

中飯場

砂防新道

1650mあたりからシール

甚之助避難小屋

南龍避難小屋着 2105m 1800ごろ

小屋の中の雪かきをして中へ 1900ごろ

南龍避難小屋 6:00

室堂センター 2448m

御前峰 10:00 2702

大汝峰をトラバース

湯の谷をスキー滑降

白山釈迦岳山頂 2058m

ブッシュの中をたかまき、夏道発見

1750mシールをはずす 15:00

一之瀬着 17: 15ごろ

回転寿司(いき魚亭、金沢南店)、

金沢発21:30PM - 20日東京着330AM

メンバー: EAL)、HNYOMM (記録)

 

久しぶりの山スキーということで準備不足、思いのほか長かった坪足登り(片道2時間半くらいか)、好天による気温の上昇、週の前半にひいた風邪、2日間連続で3時間しか寝ていない、、、理由を挙げたらキリがないが、とにかくいつになく疲れてばてばてだった。呼吸が浅く、体がだるくてついてこなかった。板をつけたら楽になるかと思ったが、雪がぐざぐざで、登りで何度もこけた。こけるとなかなか体制を立て直せなかった。春の雪の登りは決して侮れない。300ごろ登っていると、下りのパーティーと何度もすれちがい、自分たちの時間の遅れを感じた。

 

甚之助避難小屋 まできたとき、室堂まで頑張る気持ちはあったが、あと標高差500mだというのに、体がついてこなかった。南龍避難小屋に今日の最終地点を切り替えたときは正直ほっとした。南龍小屋は、関西から大きなパーティーがきていて意外にも大盛況だった。自分たちのスペースをつくるために、小屋の中の雪かきをすることになった。数週間前にこのふきだまりを作ったという「ふとどきもの」がいなかったら、自分たちの今日のスペースは確保できなかったかもしれないと思うと「運命のいたずら」とは不思議だ。この雪かき+床ふきに1時間くらいかかった。山屋には体力と気力は必須だ。

 

食当の私としては、夕飯はリゾットを(狙いはブイヤベース)作るもくろみだったが、なにやらただの「洋風闇鍋」になってしまった。それでもみな美味しいといって食べてくれたが、食事はもうすこし早く作れて軽いものの方がよいと反省した。私だけでなく、YOさんも、HNさんもみな疲れているようだった。長いアプローチだったものなぁ。夜、寝る前に外にトイレにいったら、月が煌煌とりつけて意外なまでに明るかった。夜中何回か目が覚めたが、小屋から見える月はすこしずつ位置を変えて時間の経過を伝えていた。

 

翌朝は素晴らしい天気だった。空気の冷たさで標高2000mはまだ冬であることを感じる。別山を背中に、白山頂上を目指して尾根を登る。今日も調子はいまいちだったが、EAさんが私と一緒について歩いてハッパをかけてきたので手が抜けなかった。EAさんは、よく歩きながらいろんな話をしてくるが、余裕がなく不本意にも無口にならざるを得ない。あとで写真をみたらこの登りの景色は絶景だった。神様からのプレゼントかな。

 

御前峰(2700m)1000着。だんだん風が強くなって、じっとしていると寒かったので、登頂の感動もそこそこに降りる準備を始める。山スキーの登頂は、登りの苦労の割には、いつもこんな風にあっけない。白山でさえこれなんだから、エベレストやマッキンリーなんかの登頂はさぞあっけないことだろう。私は、せっかく買った地図を昼ごはんと一緒に車に忘れてきたので(アホな自分に付き合うのは本当にお気の毒としかいえない)ルートは3人の頼もしい男性にまかせることにした。(というかルートを見る元気もなかったのも事実だが)あとで地図をみて、こんな標高差を移動したのかと、驚いた。かえってあの時知らなくて良かったのかも知れない。

 

シールをはずして、御前峰の北側を滑降する。1本滑ったら快感で、何をしにここまできたのか、やっと思い出した。そうだスキーに来たんだった、ボッカハイキングではない! 高揚し始めた気持ちと共に大汝峰をトラバースして湯の谷へ滑降する。白山連峰は大きくて、ダイナミックで、そしてやさしく、また懐かしかった。やはり白山は私の好きな山だ。目の前の絶景にひと時の幸せに浸る。

 

湯の谷から釈迦岳に上がる斜面でシールをつけて、再び苦悩の登りへ。釈迦岳山頂からはまた、シールをはずして雪のあるところまで下るが、それもつかの間。途中から板をはずしての藪こぎ、滝の高巻きと事態は段々深刻に。板を背中につけての高巻きは上から下から木にからみつかれる感覚でとても疲れた。これほど木の枝というものを恨めしく感じることも他にない。ようやく夏道を発見して(発見したときのHNさんのうれしそうな表情が印象的だった。これで生きて家へ帰れる!)地面に雪の残る、新緑のぶなの木立の中をひたすら下を目指して歩いた。荷物の重さで足や背中やいろんなところが痛くなり、へろへろになって、一之瀬ゲートにたどり着いたのは17:00を少し回っていた頃だった。温泉にはいって、金沢でおいしい回転寿司を食べて、帰路についた。

 

遅い私を待っていてくれ、いろいろ助けてくれた、頼もしい男性3名様、できたてほやほや素敵なおうちで歓待してくれた金沢のNさん夫妻、本当にありがとうございました。苦労も大きかったですが、それ以上にRewardingな週末が過ごせました。

どうもありがとう!

八ヶ岳 旭岳東稜 07/3/16夜~3/18

2011/09/08 3:39 に suginami rouzan が投稿   [ 2011/09/08 3:43 に 杉労HP管理者 さんが更新しました ]

 川堀、小野(記)

317日 美し森駐車場~出合小屋~旭岳東稜~五段の宮基部

3月に入り、冬に戻ったように急に寒くなった。12日から谷川岳天神平スキー場のライブカメラを毎日眺めてきたが、晴れた日は少ない。11日からの雪が1mほどになっているだろう。18日も悪天が予想されたため、一ノ倉尾根は諦め、八ヶ岳に転進することにした。

17日朝、美し森の駐車場に張ったテント内部で、温度計は-3.3℃を指していた。寒いが、一ノ倉へ向かうのに比べたら、気持ちはとても楽である。雪は少なめ。ガイドブックには少雪なら林道へ車が入れると記されていたが、駐車場のすぐ上に立派なゲートがあって、一般車は進入できなかった。

 出合小屋まで若干の上り坂を約2時間。よい天気だが、休んでいると寒くなってくる。その後、天狗尾根へ向かうトレースを見送り、左の谷を進む。取付は上ノ権現沢へ50mほど入ったルンゼにとった。急登。所々モナカ雪になっていて苦しい。尾根に出ると快適な雪、岩、木、土、氷のミックスクライミング。少し緊張するが楽しい。

 その後しばらくは普通の歩き。途中1ピッチの懸垂下降を交えながら、最後は急な雪壁に取り付く。傾斜50度くらいはあるが、先行パーティーのトレースがあるので、さほど問題ない。右へ曲がって、五段宮の基部に着いた。先行パーティーは更に先へ、五段の宮の直登ルートを進んでいる。ここから上にはテント場がないから、今日中に稜線まで抜け、下山してしまうつもりなのだろう。

 五段の宮基部には二人用のテントにピッタリのスペースがある。整地していたら木の根が出てきた。やはり雪が少ない。しばらくして、川堀さんが「死にそうだった~」と言いながら上がって来たが、そんな場所があっただろうか。

 設営して食事。今回は共同コッヘルを省略して、α米とスープだけの食事。川堀さん持参のあたりめが旨かった。

 

318日 五段の宮~旭岳山頂~ツルネ東稜~出合小屋~美し森駐車場

 テント内部の温度計は表示が消えていて、-10℃以下であることを示していた。朝が待ち遠しく、朝が来た夢を二度見た。

 五段の宮。宮ちゃんがボルダーで五段を登ったら、きっと、こう呼ばれるに違いない。その名の通り、小さな五つの壁が連続してたちはだかっている。岩稜を直登しようか、左へ巻こうか、昨夜からさんざん悩んだが、ルートファインディングの実践のためという理由で、トレースのない巻き道を行くことにした。もちろん、巻き道の方が簡単そうだということもある。

 左にトラバースした後、木の根をつかんで強引に登る。ここが第一の核心だった。軽量化したつもりだったが、背中の荷が重い。凍った土の斜面にアイゼンはよく効くが、ピッケルは岩を叩いたりして、何度か振らないときまらない。効いていても体重の多くを預けるのは気持ちが悪いが、おそらく、自分が思っているよりは効いているのだろう。あまり怖がってもいけない。途中丸太を越える部分、そして後半、抜けそうな石楠花をつかんで左のルンゼにトラバースするあたりが第二、第三の核心。ダブルアックスを交えながら2ピッチで抜ける。後で聞いた話だが、雪が少ない時は、巻き道ではなく岩稜を直登した方が簡単らしい。

 リッジ上の3ピッチ目は川堀さんのリード。その後しばらくコンテで進む。雪が少ないせいか、キノコ雪も小さなものしかない。山頂手前でスタカットをさらに1ピッチ。リッジへ上がる右へ回りこむ部分がバランスを要し、高度感もあって怖かったが、全体的にはさきほどの五段の宮の巻き道に比べれば容易だった。ほどなく山頂。

 五段の宮の登り始めから山頂まで2時間半。なかなかいいペースだった。主稜線上をツルネまで北上して、東稜を下る。登ってきた旭岳東稜が青空に映え、格好いい。後続パーティーが続々と登っている。順番待ちもあるだろう。昨日、目いっぱい上がっておいてよかった。

 下り道、天狗尾根を登ったおじさんにあった。単独だという。小さなシュラフにツェルトビバークだったそうで、「筋肉が硬直するほど寒かった」と話していた。


 夕方から飲み会たどいう川堀さん。温泉を省略して中央道を東京へ。渋滞も少なく、結構早くに着いたが、飲み会は前日終わっていたらしい。

Mt. Denali / West Buttress

2011/09/08 3:21 に suginami rouzan が投稿   [ 2011/09/08 3:35 に 杉労HP管理者 さんが更新しました ]

6/9-24 (メンバー)粕谷和彦、田中孝奉、小野良典()

行動概要

 7日       小野、田中、日本出国。ソウル経由でアンカレッジ着。食糧、装備の買い出し。

 8日       粕谷合流。バンでタルキートナへ移動。セスナに乗るため荷物の計量。

 9日       入山手続き。セスナで氷河のLanding Point(2200m)へ。登山活動開始。

13     Basin Camp(4300m)へ入る。

17     High Camp(5200m)へ入る。

20     登頂。

22     Landing Pointへ下山

24     登山活動終了。セスナでタルキートナへ戻る。

25     下山手続き。バンでアンカレッジへ移動。

27     深夜、解散。小野、田中はそのまま空港へ。

28     粕谷NYへ戻る。

29     小野、田中、日本帰国。

 

6/9 曇時々雪,夜雨 Landing Point 12:30 / 7800FT 17:45

 前日しそびれたNPS(National Park Service)でのチェックインを8時に済ませ、定員4人のセスナに乗り、カヒルトナ氷河へと飛んだ。セスナには車輪とソリの両方が付いていて、飛行場にも、雪の上にも着陸できるようになっている。その切り替えを飛行中に手でやっているあたりが、なんとも原始的である。

Landing Pointにワインを埋める。登山中は禁酒だけれど、帰って来た日にはお祝い(残念会?)をしたい。1.5リットルの特大ワインだ。凍らないといいけれど。

 荷物を背中とソリとに分けて、出発。一人あたり約45kgである。霧が出てきた。

 氷河上を行くが、風景がなかなか動かない。規模が大きい。5時間かかって、やっとキャンプ地についた。慣れないソリ引きで随分と疲れた。

 粕谷さんの持っていたガソリン缶に穴があいていたらしく、高所用の食糧にガソリンがかかってしまった。揮発させれば大丈夫だろう。

 夜、想定外の雨が降った。雨は降らないと思ってフライを省略したので、冷や冷やしたが、大きな浸水はなく助かった。

 夜になっても暗くならないので、睡眠薬を使った。よく眠れた。

 

6/10 曇のち雪 7800FT 8:00 / 9700FT 13:30

 傾斜が強くなり、ソリが重い。

 ガスの中を進む。標識竹がたくさんあるので道に迷うことはないが、これがなかったら、方角は全く分からないだろうと思う。助かった。5時間半で次のキャンプ地に着いた。

 歯ブラシがない。昨日のキャンプ場で落としたらしい。困った。まだ2週間以上あるのに。

 この日のキャンプ地は、とても印象がうすい。3人とも、よく覚えていない。鳥がいたことぐらいしか覚えていない。写真を撮ろうとしたら、逃げられてしまった。

 

6/11 曇一時晴れ、後雪 9700FT 8:40 / 11000FT 12:20

 たくさんの人が登っている。途中で外国人のパーティーがキャンプを張っているが、なんとCDプレイヤーを持ち上げている。電源をどうするのかと思ったら、バッテリー充電用に太陽電池パネルまで持ち上げている。なんという人達だ。

 歯ブラシがなく不便(不衛生?)なので、割箸とスポンジでつくる。いまいちだけど、ないよりはずっといい。

 高度がだいぶ上がってきたので、睡眠薬をやめた。あまり眠れず。

 

6/12 晴のち一時雪 11000FT 5:10 / Basin Camp 11:10 - 12:20 / 11000FT 15:10

 荷揚げ&高所順応の日である。

 早朝出発する。今回、ヘッドランプはなしである。天気はよい。早く太陽が出ないだろうか。日があたらないと大変に寒い。-15℃だ。

Windy Cornerを通る。風が強いのでこの名がついたらしいが、今日はほとんど無風で助かった。この気温で強風だったら、とても行動できないだろう。

 太陽が当たってくる。今度は一転して、とても暑くなる。雪の照り返しが強烈だ。

4300mのキャンプに着いた。このキャンプは、Basin Camp、あるいはMedical Campと言われている。NPSの職員やドクターもいるし、天気予報も掲示されている。平らなよてもよいところである。

 たくさんのパーティーが入っている。30張りほどあるだろうか。今日はここには泊らず、荷物を雪の中に深く埋めて、下山する。

 そりを引いての初めての下山。そりは勝手に前に走って行く。引っ張られて転びそうになるわ、強い日差しでアイゼンが団子になるわで、大変な下りだった。

 夕方、軽い頭痛があり、頭痛薬を飲む。

 スキー、スノーシューをデポ。埋めて、旗を立てておく。

 

6/13 快晴 11000FT 8:10 / Basin Camp 14:45

 一日休養の予定だったが、皆調子がよいので、Basin Campに入ることにする。とても良い天気。暑い暑い。6時間半で到着した。

 キャンプを張る。ここに4泊はすることになるので、テーブルを作る。息が切れるので、ゆっくり作る。とにかくいい天気だ。Mt.Hunter Mt.Forakerがとてもきれいだ。ForakerDenaliより低いが、難しい山らしく、登頂率はDenaliのそれ(約50%)よりずっと低く、20%程度らしい。

 テーブルでごはんを食べていると、外国人が次々と食糧をソリに乗せてやってきた。何かと思うと、食糧をいらないかと言う。昨日の好天で登頂したのだろう。持って下山するくらいなら、ただで配ってしまった方がいい、というわけだ。

 バター、フリーズドライのコーン、α米、チョコバーと、たくさん頂戴した。ありがたやありがたや。さっそくバターとコーンをシチューに入れて食べる。おいしい。

 ダイアモンドダストが輝く。午後9時前に日が陰ると、強烈に寒くなってくる。

 夜、トイレに起きる。赤い月が出ている。-25℃。夜半過ぎに風が吹いた。

 

6/14 快晴一時霧 Basin Camp 13:15 / FIXロープ下 15:15 – 15:30 / Basin Camp 16:20

 高所順応の日とする。

 カラ荷でのんびり、4700mあたりまで登る。途中クレバスが一ヶ所口を開けている。テント村がよく見えた。私達のテントは緑色だが、緑色のテントというのは珍しい。ほとんどは黄色だ。だいぶ上からでも、よくわかる。単独登山者が意外に多い。

 

 

6/15 晴 Basin Camp 9:10 / 16200FT 12:30 / High Camp 15:15 – 16:10 /

          16200FT 17:10 /Basin Camp 18:30

 高所順応、兼荷上げの日である。相変わらずいい天気である。

4700mからFIXロープを登る。ロープはしっかりしているが、足元には氷が出ている。傾斜もきつい。途中で休むことはできず、1時間半ほど登りっぱなしになる。かなり辛い。

FIXロープが終わると、稜線に出る。風が少し出てくる。ここまで来ると、Denaliの北峰が見える。主峰の南峰はまだ姿を現わさない。

 ここから17200FTHigh Campまでが長いこと。荷揚げを途中であきらめた人達のものと思われるデポ品が、たくさん埋めてあった。

 ロシア語のプリントがあるテントが張られている。いろんな国から来ているのだ。

 私達は何とかHigh Campまで辿り着いた。穴を掘ってデポする。旗を立てて下山。

今日は、これまでで一番疲れた。

 バリエーションを登るクライマーがいた。さぞかし、しんどいだろうなあ、と思った。

 

 

6/16

 休養日。田中さんが雪目のようで、結膜炎を起こしているとのこと。サングラスが眼鏡のレンズの上に二重にしてかぶせるタイプのため、横からたくさんの光が入ったようだ。一日中、ゴーグル着用。よいところで、休息日となった。

 


6/17 Basin Camp 8:00 / 16200FT 11:10 / High Camp 13:10

 天気予報は曇であったが、まだ晴れている。この好天がずっと続くとよいのだが。

 今日はHigh Campへ入る日である。日の当たらないうちに出発する。寒い。しかし、日が当たると急激に暑くなる。いつものとおりだが、困ったもんだ。

 昨日登頂した人々がたくさん降りてくる。おめでとうございます。

High Campは風が強い場所と聞いている。前の人が使っていた、宮殿のように立派なブロック塀のテント場が空いていた。ラッキー。使わせてもらうことにする。

 

6/18 雪のち晴

 久しぶりに悪天。休養日とする。

5200mというのは、いるだけで疲れる高度だ。でも粕谷さんと将棋をする。長い勝負になり、敗戦。

 夜、シュラフの中で、手指の感覚がないのに気がついた。やばい、凍傷だ。どうしよう。あせる私は寝返りを打った。治った。しびれていただけである。寝ぼけていただけ、とも言う。

 夜、CB無線で初めて天気予報を聞いた。あまりよくない。

 

6/19 晴のち雪 High Camp 7:30 / Denali Pass 9:30 / 下山路途中10:15 – 10:30 /

               Denali Pass 11:30 / Weather Station 12:15 / High Camp 13:50

 朝食のラーメンがひどくガソリン臭い。田中さんは気にならないというが…。初日にガソリンがかかったものだ。揮発させても、臭いが残ってしまうようだ。

 朝、気温-18℃。昨晩から6℃も上がっている。本格的に気圧の谷の前面に入ったようだ。南西の空に波状や放射状の雲が散らばっている。悪天になりそうだ。

 とりあえずアタックに出る。デナリパスまでのルートは、今年からスノーバーが打たれていて、いくらか安全になっている。雪が固まらず、足元が結構悪い。

 デナリパスは風がない。非常に風が強いと聞いていたのに。かえって気持ちが悪い。明らかに悪天になりそうなので、下山を開始するが、途中、「風がないのになぜ行かないのか」との意見が出た。焦って進んで得した試しはない。今日もそうかと考えると、必ずしもそうとは言い切れないが…。うまく説明できない。

 もう一度山頂を目指すことにする。日本隊設営のWeather Stationまで登り、天気が崩れてきたので再び下山。Weather Stationは思っていたより小さな設備であった。

 デナリパスに、ソリをデポしている隊がいた。ここまで、何を運び上げてきたのだろうか?

Weather Stationまで登ることで、余分に高所順応できた。一方、疲労の蓄積は増してしまった。バランスを考えると、良かったのかどうか、わからない。下から見ていたパーティーがいたとしたら、私達の行動を面白がっていただろう。そう考えると笑える。

 夜、テントの外で、粕谷さんと2人して天気予報を聞く。CB無線から流れる英語は、モゴモゴしていて聞き取りにくいが、雪が続くとのこと。2人して暗くなってしまった。

 今日無理してでも行くべきだったのかな、と少しだけ思った。

 

6/20 晴れ時々雪 High Camp 9:00 / Denali Pass 11:20 / 山頂 16:20 – 16:35 /

Denali Pass 18:20 / High Camp 20:00

 雪の予報だったが、昨日より空の状態はいい。アタックに出ることにする。

 デナリパスまでは、きっちりとランニングビレイを取りながら行く。

 デナリパスで、やっと山頂が見える。2つのポッコリした山の、右側が山頂だ。Weather Stationを超え、なお登る。ややガスが多いが、ひどい悪天にはならないだろう。

 ルートは左へ折れ、フットボールフィールドへ。その名の通り、大きな雪原だ。こんなところでガスに巻かれたら全くルートがわからなくなりそうだが、他隊などの標識竹がたくさん立ててあるので、安心して前進する。

 その後の稜線への登りがひどくきつい。写真で見たときには、緩い登りのように見えたのだが、実際はきつい傾斜だった。このあたりは標識竹が減ってくるので、ガスに巻かれると危ないだろう。早く山頂へ行ってしまいたい。先に登った人達が次々と降りてくるが、驚いたことに全て日本人だった。この天気では、外国人は登らないらしい。この日の登頂者は皆、日本人である。喜んでいいのやらよくないのやら。

 稜線に到着。持参した最後の標識竹を立て、荷物をデポ。あと水平距離500m、標高差60mだ。

 いくつかのアップダウンを経て、山頂らしいところに到着。視界が悪いので、本当に最高点かどうか不安だった。足元に三角点のようなものがある。米国内務省の名で、ちゃんとマッキンリーと書いてある。居合わせた日本人に写真撮影を頼んだ。彼も、撮影のため私達を待っていたようだ。背景が真っ白で、どこの写真だかさっぱりわからない。早々に下山開始。

 下りは速かった。2時間ほどでデナリパス着。そのあとは、またランニングビレイをきちんととりながら降りたが、カラビナからロープをはずすのにかがむ度に、息が切れて困った。田中さんが一番元気だった。

 下山後、ゼリーを食べる。固まるのに思ったより時間がかかる。おいしい。

 

6/21 High Camp 13:50 / 16200FT 14:50 / Basin Camp 16:20

 午後から下山開始。いやいや疲れている。続々登ってくる外国人は、皆大きな荷物だ。彼らは体力が違うな、と本当に思う。

 田中さんは、私のいいかげんなロープ操作に閉口しているようだ。シビアなところではないので、ちょっと我慢してもらおう。

FIXロープを降りると、ひどいガスに巻かれた。視界30mくらいだろうか。トレースがなければとても歩けない。雪が降っている。

Basin Camp着。ここを出発したときに比べると、随分と人が減っている。そろそろシーズンも終盤なのだろうか。気温0℃。また雨の心配をせねばならない。

6/22 Basin Camp 9:30 / 11000FT 13:30 – 14:10 / 9700FT 16:00 / 7800FT 17:30 /

         Landing Point 21:00

 寒い。寒い。-22℃。気圧と谷の背面に入ったようだ。昨夜から20℃以上の気温低下。凍りついた紐にてこずる。天気は良い。今日までアタックを待てばよかったかな、とちょっと思ったが、ガソリン味のラーメンを食べることになるので、現実的には難しかっただろう。それにしても寒い。風のせいだ。High Campは-30℃前後だろう。

 下りのソリひきはしんどい。ソリが勝手に前に行ってしまう。シュリンゲをソリの下に回してブレーキにしたら、とても調子が良くなった。

 いろいろな人達が上がってくる。米国内からのパーティーが多いようだが、レバノンから来ているパーティーもいた。登山を楽しむ人はいるのだ。不思議なのは、黒人が一人もいないということだ。この謎は解けていない。

3400mからは、スキー+ソリで下る。粕谷さんは、すぐにひっくり返るソリと格闘。このあたりを登ってくるときはガスの中だったのでほとんど風景が見えなかったのだが、晴れている今日になってみると、とてもよいところであることが分かった。氷河の真中を下って行くルートだ。時折、雪崩の音が響く。

 それにしても、ソリをひいてスキーをするというのは容易ではない。とても滑りを楽しむなどという状況ではない。7800FTから下は、クレバスがあちこち口を開けている。怖いが、幅はそうない。スキーを履いていればまず落ちないだろうな、と少し安心できる。

 最後の登り。今日の目的地、Landing Pointが見えてからが長かった。結局11時間半かけて、Basin Campから、長さ20km、標高差2000mを下ったことになる。いつも一番元気な田中さんが、今日は一番疲れていた。彼だけスノーシューだったのだが、スキーの方が楽だったのかもしれない。

 雪に埋めたワインの入った袋が、融雪で半分顔を出している。乾杯。二週間ぶりのアルコールである。明らかに飲みすぎ。

 

6/23 曇のち雪

 早くセスナに乗って帰りたい。でも悪天でセスナは来ない。将棋3連敗。ひまだ暇だひまだ。ここが南国の海ならよかったのに。隣のテントから、トランプにはしゃぐ声が響く。

6/24 曇時々雪

 霧で一杯だ。今日も飛べないかな。半ば諦めの夕刻、セスナが来ると言う。20分で準備しろと言う。

 大慌てでテントを畳む。一番にセスナに乗れるかと思いきや、「1時間後」と言われ、がっかり。時折雪が舞う。気温は8℃。雪が降る温度ではない。デナリでは、高温時の雪が珍しくないようだ。照り返しで温度計が不正確なのだろうか。メカニズムを研究すると面白そうだが、もう来ることはないだろう。

 私達のセスナが来た。上空は曇っていても、地上付近が晴れていれば、大丈夫らしい。

 セスナに乗る。スタート。およよ、右へ曲がって行く。雪の斜面にはまってしまった。

 でもパイロットは慌てない。キャンプしている人をみんな呼んできて、セスナを押す。そう、みんなで手で押して、脱出。離陸しなおし。パイロット氏曰く「年に一度はこんなことがある」、粕谷さん曰く「彼はしょっちゅうやってるよ。扱いが慣れてるから」。

 そんなこんなで、夕方7時、Talkeetnaへ戻ってきた。緑を見るのは何日振りだろうか。

 ピザ屋で乾杯。家族連れから、「何日かかったのか」という質問を受けた。長くかかることに驚いた様子だった。

 バンクハウス泊。久しぶりのシャワー。空は今日も暗くならない。夜、雨が降った。

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