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【谷川集中C班】一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 南稜フランケ + 奥壁ダイレクト

2013/06/09 9:22 に Taro Inomata が投稿   [ 2013/06/09 16:41 に更新しました ]
杉並労山 谷川集中山行として、登攀C班は南稜フランケ + 奥壁ダイレクトを計画した。
計画当初、日曜日は雨予報で金曜夜まで変わることがなかったが、縦走A班は両日決行との事。宴会は非常に楽しみだが雨の一ノ倉を仰いで帰ってくるだけでは空しいので中止しようと思っていたが、「せっかくの例会山行なんだし、小雨なら中央稜でも行きましょう」とやはりナニカガチガウ菅原さんの一押しにより決行。折よく土曜昼時点で晴れ予報に転じ、当日も予報通り天気が良く、暑くもない寒くもない非常に良いコンディションとなった。
お天道様は普段の良い行いを優先してくれたようである。

2013年6月2日 菅原、猪股(記)

6/1 土合集合
縦走A班の金澤さん、村山さんはこの日、土樽~蓬峠~白樺尾根~土合。登攀C班の菅原さんは一足先に土合入りし、土曜の内に中央稜を登って帰宅する登攀B班の鈴木さん、萩原さんを見送っていた。猪股はいつも通り17:32土合着の電車に揺られ宴会に合流する。



南稜フランケ
難度が高い上にランナーが遠い事で有名な南稜フランケ。1回目の去年の感想はその通り、恐ろしさしか感じるものはなかった。
しかし2度目の今回感じたのは、「スッキリと開けた視界の中に、カチリとしたホールド&スタンスは確かにあり、それらを拾って適度なバランスを感じながらのフェースクライミング」というなんだか谷川らしくない好印象だった。ランナウトとルートファインディングはそれに加えたスパイスであり、ソバに入れ過ぎた七味の様なものである

▲土合の夜明け

▲左が6/2、右が5/26。刻々と雪解けは進行している。

■南稜フランケ 1P目Ⅳ+(猪股)
鎌形ハング右端から取り付き。トップ宣言すると「まぁ気ぃ付けて」と送り出される。緊張が高まる。
まずは外傾したスタンスを辿り、浅いカンテを目指す。6,7m程右上した辺りでキャメ#2を入れる事ができる。浅いカンテを抜けると所々にハーケンを見つける事ができたが、中間部から上部にかけて全くプロテクションが無い。ルートファインディングが大事な場面なのに、左上の垂壁にリングボルトを見るや、一目散に取りにいってしまう。それをランナーに取ると冷静になり、のけ反って上を見渡してみれば、終了点は随分右であった。リカバリのため細いバンドをスタンスにバランスで右へ右へとトラバースし、終了点の直下3m辺りでハーケンを見つけほっとする。(中間部〜上部のランナウトは10mくらい)
菅原さん曰く「こりゃYCC左のピンだな」と。

▲取り付き

▲浅いカンテを越えた辺りから見下ろす

▲ビレイ点から見下ろす。写真右の緑ロープの最終プロテクションはYCC左ルートのもの。


■南稜フランケ 2P目Ⅳ+(菅原)
菅原さんの持論「南稜フランケはスッキリしていなくてはならない」。正規ラインではビレイ点から左に伸びる草付きを辿って大きく回り込むように行く所、去年と同様、ビレイ点からダイレクトに2P目終了点に突き上げるラインを行く。(YCC左ライン)
出だしの1、2歩、スタンスに困るが下部〜中間部は気持ちのよいフェース。1箇所カムが使える。正規ラインと合流した上部は岩が外傾していて悪い。
▲出だし。

■南稜フランケ3P目Ⅴ+(猪股)
核心ピッチ。トップ宣言すると「ま、まぁ気ぃ付けて」と送り出される。また緊張が高まる。
去年はフォロー且つA0であったが今回はフリーで行きたかった。まずはハングに頭を押さえつけられるような姿勢から始まる。ハング下数mのポイントはスタンスである。足下、変な所にピカピカRCCが打たれていて、思わず踏みつけたくなるのだが、その左右にはここぞと乗せやすいスタンスがあり、それ辿ってハングを抜ける事ができる。しかもハングを抜けた所にピカピカのリングボルトのご褒美付きである。
ハング含め下部はプロテクションの量に困る事はなかったが、1P目と同様に、中間部から上部にかけてプロテクションが無い。しかし掛かりのよいカチが連続し、スタンスになるポイントを注意深く覚えながら進む。
ランナウト中、間もなく終了点という上部で、右か左か悩むポイントがあり、左を選んだら終了点を右手に登り過ぎてしまい、リカバリトラバースで泣いた。(上部ランナウト10mくらい)

▲ビレイ点より見下ろす


奥壁ダイレクト
南稜フランケ3P目終了点から奥壁ダイレクトが始まる。現在、奥壁ダイレクトルートは変形チムニールートをアプローチとするのが一般的らしいが、今回は菅原さん懸案の初登ライン(変チ終了点の左のカンテを越えた凹角。Ⅵ+!!)の様子を見てみるという事で、南稜フランケをアプローチとした。

■奥壁ダイレクト 1P目 (菅原)
初登ラインを眺めるが、記憶にある場所にボルトが無く、ルートその物が風化・崩壊したのかもしれないとのこと。しばらく唸っていたが、初登ラインは諦めて変チラインに変更。3m程クライムダウンし、カンテを越えて変チ上のビレイ点まで。

▲写真中央の凹角が初登ライン

▲名残惜しそうに眺める


■奥壁ダイレクト 2P目 下部Ⅳ-(猪股)
直上すると古いカムが残置されている薄被りのクラックがあり、それを越えて6,7mくらいで立派なビレイ点がある。計十数m程度なので明らかに短いのだが、念のため切っておく。
▲2P目下部ビレイ点より変チビレイ点を見下ろす。


■奥壁ダイレクト 2P目 上部Ⅳ+.(猪股)
コーナーを草付沿いに直上。草の下なのか出だし5mはピンがない。草と土を掘り起こしてクラックにキャメ#1をきめる。見上げるとコーナー左壁にハーケンが見え、左上ハングの右端が頭上に迫ると、古いリングボルトもあり、ハングに頭を擦りながら左のフェースに導かれる。すぐにリングボルト2本のビレイ点。しかしこのビレイ点、伸びていたりはしないものの、2本共かなり腐食が進んでいる。ナッツネクタイする。
▲2P目上部ビレイ点より見下ろす。


■奥壁ダイレクト 3P目 ⅣA1 (菅原)
左上ハング沿いに人工。途中、ピンが無くなったようで「こりゃ2本位ぶっとんでるなー」とつぶやきが聞こえる。ハング内にチビカム決めてこれを越える。残されたハーケンも結構ぼろい。そのまま直上しテラスまで。
▲3P目出だし

▲左上ハング人工中から見上げる

▲3P目ビレイ点のご様子


■奥壁ダイレクト 4P目 Ⅳ(猪股)
テラスから第一チムニーを見上げるとスリングが揺れている。「最初のチムニーは突っ込まないで右カンテに逃げた方が楽だよ」との事で試してみるが、足が無く、1本目のボルトをスタンスに大股開きして何とか右のカンテに乗り移る。第二チムニーは体で突っ張りながら簡単に越える。ガイドブックによると第二チムニーを越えてすぐ右テラスが終了点の様に書かれている。頭上に凹角。そして左カンテの更に左には巨大な岩溝。正にここだと思われた所にビレイ点が無い。目の前には錆びきったRCC1本。草が茂っているのでそれを剥がしたり土を掘り起こしたりしたが見つからない。右手は真新しい崩落跡。「もしかして崩落でなくなっちゃったのかな」とも思う。
ハーケン2本打つが効きが悪い。それをバックアップとして、古いRCC1本で引き上げた。
曰く「終了点はもう一段上デスヨ」だった。(間違えやすいので要注意。)

▲第一チムニーに突っ込まず右(写真下)のカンテに移る。

▲第二チムニー内


■奥壁ダイレクト5P目 Ⅳ(菅原)
本来の4P目終了点目指し凹角を直上。テラスは広く明るい。フォロー中本来のビレイ点を探してみたが結局見つけられなかった事前情報ではペツル2本の立派なビレイ点らしいが、テラスが広い故に草にの中を探すのが大変そうだ。というかビレイ点どころかそこから先にプロテクションがない。このピッチ、フォローで回収したのは土の中から探したであろうハーケンと、細い灌木の計2本であった。テラスから所々草付きのスラブ状を登るまでは良かったが、その先脆いフェースにさしかかると、ほんとに脆くて騙し騙しの登攀だった。凹角が狭まってきたら左の草付きに乗り移る。烏帽子岩基部が終了点だが、またしてもビレイ点が無い。ハーケン3本打ち込みそれとしていた。

▲4P目本来のビレイ点より見上げる。ロープ沿いに登る

▲フォロー中、テラスを見下ろす。この草の中にハンガーがある。(はず)

▲烏帽子岩基部。ハーケン3本打ってビレイ点。


■奥壁ダイレクト6P目Ⅲ(猪股)
階段状のスラブを真っすぐ登る。雪崩に流されてしまうのか、「ここまで登ってくるヤツがⅢ級でランナーはいらんやろ」なのか、20m以上プロテクションが無い。ロープ半分辺りで1本目のハーケンを見つける。終了点は中央カンテなどで烏帽子岩を懸垂する際に南稜に向かう笹薮への間にある。古いハーケンが何本も打たれ、古ロープでまとめられている。

▲気持ち外傾した階段状を登る

▲ビレイ点

▲おつかれさまでした。

以上、後は笹薮をトラバースして南稜下降。

3:20 起床
4:00 土合発
5:20 一ノ倉沢出合
7:00 南稜フランケ取り付き
9:50 南稜フランケ3P終了点、奥壁ダイレクト開始
14:20 奥壁ダイレクト終了点、南稜下降
15:35 南稜フランケ取り付き
16:50  一ノ倉沢出合

使用した特筆ギア
・カム:マスターカム1セット、キャメロット#1、#2
・ネクタイ用チビナッツ
・ネクタイ用ワイヤー
・ハーケン
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