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20110917-18 尾白川黄蓮谷右俣

2011/10/10 3:23 に Taro Inomata が投稿   [ 2012/09/01 1:07 に更新しました ]
日程:2011/9/17~9/18朝発1泊2日+予備日9/19
メンバー:下山、田村、猪股(記)
※下山、田村は他会(山岳同人マーモット)

黄蓮谷は「関東周辺沢登りベスト50」のカラーページ沢であり、また冬はアイスエリアとなって夏季冬季共に楽しめる名の知れたルートである。だから山岳年数浅い自分にとってはまず目に付きやすく目標の1つとなっていたが、登攀グレード4級上というあたりこの沢に行ける日はまだ先の話だと思っていた。
今回はT-WALLで知り合った山岳同人マーモットの下山氏、田村氏の2人が黄蓮を計画しているということでお誘いを受け、食いつくように参加させてもらったものである。

黄蓮谷出合以降次々に現れる大滝は、それを滝と称するよりもむしろ大ナメ"地帯"。遡行スピードはかなり速めであり、奥の滝スラブの登攀など、限られた時間と好天の中で遡行を完成できたことはマーモット両人の力があって他ならない。
甲斐駒ケ岳山頂からの感動的な展望と共に、鬼のように長い黒戸尾根の下山も忘れることはできないと思う。ゲップ。

■タイム概略
スギローペース:速め
8:00竹宇駒ケ岳神社(駐車場)着~8:20発~8:30売店尾白~(尾白川林道への山道)~XX:XX尾白川林道~10:20林道終点~10:30入渓点着~10:50遡行開始~12:00噴水滝~12:40頃黄蓮谷出合~14:00五千丈沢対岸テン場着(泊)
5:40起床~6:40発~7:40黄蓮谷右俣・左俣出合(坊主滝の高巻中に出合を見下ろす)~7:50右俣着地~9:20頃奥千丈滝~11:00頃奥千丈滝上~14:40甲斐駒ケ岳(神社本社着)~14:50山頂~15:10下山開始~16:10七丈小屋~19:30竹宇駒ケ岳神社(駐車場)着

■9/17 アプローチから黄蓮谷 五丈沢出合テン場へ
山梨県 北杜市の週末の天気では、前線は日本海に漂い台風15号は沖縄で停滞。9/17は弱雨で0mm~2mmの降雨が続くという。9/18は晴れ。過去雨量では韮崎方面で過去一週間降雨は無い。とかく初日に尾白川を抜けることができるかがキモであった。

4:50自宅を出て、近くのコンビニで田村号にピックアップしてもらう。
8:00竹宇駒ケ岳神社駐車場着。雲は低く小粒の雨がぱらついている。まず入渓点の様子を見て判断する事とする。駐車場から神社方面へ進み、「売店尾白」で尾白川林道へのショートカット道(登山道)に入る。

一汗かいて林道に合流。相変わらず小雨は続き不安に駆られながらダラダラ歩く。10:00尾白川渓谷道(不動滝)への分岐に着く。駐車場のマップだと不動滝から林道までの登山道は廃道になっているらしかったが立派な指標だ。尾白川渓谷道から林道に上がれるなら川の様子も見れて渓谷観光もできて都合が良い。次の機会にはこちらを試したい。

10:20林道終点。一気に下って10分ほどで入渓点に着く。
我々はここで始めて渓相を見るのである。ここで濁流を見ればまた退屈な林道を2時間かけて歩くのである。しかしこの日の尾白川は白い岩に透き通る水の流れで迎えてくれた。この程度の雨では尾白君は表情を変えなかった。入渓だ。

沢支度を整え10:50出発。
美しいナメ床と小滝、広く深い釜が続く。夏の暑い時期には存分に水遊びが楽しめそうである。また黄蓮谷全体を通してであるが、人気の沢だけあってかどの滝の高巻きにしても比較的踏跡もしっかりしており、苦労はしたがあまり難しくなかったと思う。

12:50黄蓮谷出合。右岸を少しあがったところに快適な幕場があり。沢床も広く焚き火にも快適そうである。尾白川下部の水遊び山行にはちょうどよさそうだ。長めに休憩。

13:27千丈滝。こちらもハッキリした巻き道がある。

14:00五丈沢対岸の幕場着。天気が崩れることなく初日を終えた安堵は大きかった。後は好天に向かうだけである。相変わらず雲に覆われた空であったが気持ちは明るくタープを広げる。
日中、シトシト雨だったので蒔き木は濡れて燻しは少し長かったが、長雨や豪雨ではなかったのでメタ一つで点けることができた。
そして酒タイムである。ビールだのワインだのウィスキーだの焼酎だの、遡行距離あるのにみんな持ってくるもんである。途中、雨粒が大きくなってタープに避難したが、勢い付いた焚き火は消えなかった。また酔いも醒めることはなく、しばらくして雨が止むとまた何かの虫のように外に出て酒宴を続けるのである。
寝た時間は覚えていない。


■9/18 テン場から甲斐駒ケ岳、帰路へ
寝坊する。5:45に下山さんに起こされる。カップ焼きそばをかっ込み6:40出発。朝から足を高く上げなきゃいけないゴーロ帯でしんどい。

出発からすぐ、坊主滝が現れる。名のごとく逆層のペローンとした大滝なのだが、ここで名付けずとも昨日見た滝はみんな坊主であった。
坊主滝は右のガレ沢を入り高巻く。しかし沢床に戻る良いポイントが無く、トラバースしつつもどんどん尾根に上げられる。巻き中、眼下前方に沢が出合っており、もしや黄蓮右左の出合では?と話し合う。しかし左右出合の前に右から一本沢が入るはずなのにトラバース中にそんな沢は越えていないし、しかも高度上では黄蓮右左はまだ先であり一層悩んだ。

悔しくもGPSで位置を確認する。結果、眼下の出合は黄蓮右左出合であり、右から一本入るはずだった沢はトラバース中にいくつか越えたルンゼの内の一つであることがわかった。また、昨日から気圧が上昇傾向にあり高度が低く表示されていた。

そして下山さん、見事残置の残る懸垂ポイントを見つけ1時間ぶりに7:50沢床に戻ることができた。坊主滝と黄蓮左右出合を一緒に巻いたのである。


まぶしい日差しに照らされたゴーロと小滝を進むと奥千丈滝が現れる。下段を左からロープを出してトライしてみるも、7~8m登ったあたりで残置支点が無くなり、岩溝が続くのみとなる。恥ずかしながらセミ状態になりつつ何とか降りて左から巻きに掛かる。登ろうとした滝の落ち口から先が見渡せるようになると、そこは更に急傾斜の大ナメ帯が続いていて、とても登攀ルートを見出すことができなかった。

奥千丈滝の高巻きでは鋭いルンゼに阻まれる度に上へ上へと押し上げられる。そのまま黒戸尾根に突き上げてしまうのではないかと思うくらい上へ。笹ヤブと岩稜を交え、植生が石楠花に変わりしばらくで踏跡を見つけることができた。途中、何に掛けられるでもなく古いカラビナがポテッと落ちており不思議な安堵感を感じた。

踏跡を辿り徐々に高度を下げると奥千丈滝の上に出ることができた。そこは日光と白砂が眩しく光る開放的な別天地であった。ちょっと水面に近い感じがするが、平らでビバーク跡も焚き火跡もあり、好天が約束されたような場合には最高の幕場となるだろう。
長い高巻きで掻いた汗を流すようにみんなでシャツを水洗いし、大休止して行動を再開する。

これで終わりか思ったがそうもさせてくれず、奥の滝60mが現れる。巻きは右か左か、どちらでもいけそうだったが右の一段目が登りづらそうなので左を進言してみる。意見が分かれるが、なんじゃかんじゃで左となる。しばらく登るとコーナースラブに阻まれ、ロープを出して下山さんトライ。残置ハーケンに加え、自前ハーケンを打ち足してジワリジワリ進んでいるが、かなりいやらしそうで直後苔に滑り数メーター落ちてしまう。二度目のトライで見事突破!猪股は壁への挑戦心がひよってしまい、ゴボウで抜けてしまう。
ふと左岸側を見るとなにやらしっかりしてそうな支点にフィックスが張られているのが見えた。すいません。やっぱ右でした。


その後1回ロープを出した後、巨岩帯となる。普段のゴーロ帯で自分たちだけが小人になった気分だ。正面に巨大な岩盤が現れると水も消え詰めの開始。石楠花帯に入ると地形も判然としなくなるが、もうどう進もうが目的地に着くエリアである。
ここで雷鳥と出会う。こんな真近に雷鳥を見たのは初めてで心躍ったが向こうは慣れたもんである。

どんなもんじゃいとバテ出す体にカツを入れながら登っていると、トップの下山さんが「いいこと教えてあげようか~」と振り返って呼ぶ。何を言いたいのかはハッキリしていたが、大岩を乗っ越した先に我々以外の登山客がいきなり現れたことで驚きもひとしおであった。
14:40甲斐駒ケ岳 駒ケ岳神社本社に到着。3人で握手をし称える。

14:50甲斐駒ケ岳山頂。

太陽も晴れ晴れ最高のコンディションで南アルプスを眺めることができ、充実の終了点であった。しかしゴールのためにはこれから長大な黒戸尾根を下らなければならない。幸い3連休の為あと1日予備日がある。「7丈小屋で一泊して宴会にしようか」という案が浮かびそれを餌に足は動いた。15:12下山開始。

岩や沢の下山道は目的を終えた後の行為の為か、どうしてつまらない―。
山頂や下山途中でもう一泊、疲れた筋肉を大量の酒でほぐし、自分が上げたでもない飯を食い、その暖かく膨れた腹のまま暖かい床で眠りに就くのは贅沢な理想だ。しかし、今回はそれが可能なのである。

16:10七丈小屋着。ホントに滑りながら滑るように下ったつもりだが、下山さんは一足先にベンチで休んでいた。下山さんはここでよからぬ事を考えているのである。今思えば滑るどころか転がるように下り、考える時間を与えさせなければよかったと後悔しきりだ。

下山氏:「まだ4時だし、ここまで意外と早く着いちゃったから下っちゃわない?」

大変な事になった。田村さんは大丈夫とのこと。
ここは慎重な回答が求められたが、見栄とやせ我慢が勝って導き出した答えは

猪股:「へ、へっちゃらっすよ」

大変な事になった。しかし後の祭りである。僕らはただロボットのように機械的に歩を進め、日もどっぷり暮れた19:30駐車場に辿り着いたのである。

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