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奥鬼怒 三沢大滝 初登

日付: 2016年2月27日〜2月28日
メンバー: 猪股(記)、大和、東山
山行形態:  アイスクライミング


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深い大地の縦穴から抜け出そうともがく兄弟がいる。
やっと縦穴から顔を出したのに、自分の重い体は持ち上げることができない。
彼らの肩に微かに当たる日光は、氷の体を通じて暗い谷底に光を届けている。
彼らは足元に佇む僕らにチャンスがあることを静かに示している。
僕らは光を求め、縦穴を這い出し、空の下に立ちそして
「まぁでも僕ら同ルート下降なんだけどね」(サッサー


上栗山の鬼怒川支流、三沢にある大滝の右を登りました。
姿が立派なので滝見界隈では知れた滝のようですが、実は正式名称はなく無名滝。三沢大滝、三沢双龍滝、三沢両門滝などと呼ばれているようです。


■駐車場所
開運橋を渡って突き当りを右折(開運の湯方向)し、しばらく坂を上って左手の杉林に入っていく林道に左折。500m程走れば林道終点。車は5,6台は停められそう。(転回スペースは確保すること)

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■駐車場所~幕営地
林道終点から杉林に入り50m程進むと、落葉樹林(植生に疎くもうしわけない)に変わり、その境に小沢が流れている。この植生の境界沿いに急登するとしっかりした.踏み跡に突き上がる。
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踏み跡は徐々に消滅し地形が判然としないだだっ広い樹林となる。
行きは漁師か滝見の人のテープに導かれて広い樹林を辿ったが、ガスにまかれたり積雪によるトレースの消滅も考えられるので、多少雪があっても谷の縁沿いが楽だと思う。縁の樹林には赤ペンキが定間隔でついていた。
スネあたりまで潜りだしたのでワカンをつける。
1420m付近であつらえむきな幕営地がある。
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【事件です】
行動食にしていた練乳チューブが食料のスタッフバック内で破裂、それに気付かず突っ込んだ100均インナー手袋が猛烈に乳臭くなり、それで触るものすべてが乳臭くなった。処分。


■偵察
事前に警戒していたのは三沢へ下降するポイントだ。一気に標高差250mを急下降しなければならない。宿泊装備をデポし偵察に向かう。
三沢は左岸の広範囲が崩壊地や断崖となっており、滝見者の記録によると三沢の支流、熊穴沢出合いに降り立つのがベストであるらしい。
警戒はしてはいたが、案の定下降ポイントが下流側過ぎて崖に阻まれてしまう。上流方向へトラバースしていき、それらしい尾根形状を下降、途中テープも発見し、小沢に降りてクライムダウンを2、3手して無事に三沢に降り立つことができた。
▲急斜面を下降

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▲小尾根から小沢に降りる

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▲沢床


正しい下降ポイントを見つけるため、登り返しは尾根形状をまっすぐに急登することにした。
突き上げてみると、地形図通り狭く顕著な尾根状となっていた。青いジャンパーが落ちていたので木に挟んでついでの目印とする。
15分程下ってテントに戻る。

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■夕食
意外すぎる東山さんの長淵剛好きに盛り上がる。スマホから流れる長淵メドレーによってテント内がしょんべんになる。長淵といえばしょんべんである。

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■登攀
偵察通り、下降ポイントから急下降、三沢と熊穴沢出合いに降り立つ。
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大滝までの三沢は終始雪積もったゴーロ帯で落とし穴に苦労する。部分的なラッセルも疲れる。
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そんな中、熊穴沢出合から1本目の出合で、スカートは長そうだが40Mはくだらなそうな氷瀑を見つける。なんだあれは!!しかし疼く心を抑えてゴーロを進む。
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幾度かの渡渉と部分的なラッセルをする事2時間。円柱状に崖に囲まれた双瀑が現れる。デカイ。
左滝は右滝より10m程低い。この日は右滝の方が氷結状況は良いようだった。都合がいい。右滝を登ることにする。
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1P目:
右滝は2P目となる左肩上に大クラゲを持っていた為、1P目は右肩に向かって右上するつもりで取り付く。
しかし取付いてみると左に導かれそうになり時々トラバースを交えながら右上する。目標にしていた右肩の灌木には5m程届かず、60mいっぱいでスクリュービレイとなった。
(60m: 下部Ⅳ+、中間部Ⅴ-、上部Ⅳ)

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2P目:
見上げれば傾斜は緩んで階段状と思わせたが、それを上がると見えなかったカリフラワーと笠状の不規則な氷となり、傾斜もほぼバーチカルで悪い。落ち口はペロリとしていてやっぱり薄いが、.快適スタンスが高い位置にあったので難なくマントルフィニッシュ。残り20mのコールが聞こえたのでピッチスケールで約40mだった。落ち口左岸の灌木でビレイ。
(40m: 下部Ⅳ-、中間部Ⅴ+、上部Ⅴ)

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全体的にバーチカルとまではいかないが決して寝てもいない。部分的にバーチカル。クラゲやカリフラワーにシャンデリア、モナカに表面が削げたハングなど、厄介な障害要素が点在し直線的に登ることを許さない。眼前の障害をどのように対処するか、想定ラインを逸しない為にこれを突破すべきか迂回すべきかを考慮しながら、変則的なムーブを繰り返す感じであった。

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▲登攀ライン。1P60M、2P40M




下降:
あまり選択の余地はなく、左岸の灌木に捨て縄巻いて右肩の灌木まで50m懸垂。重かったが何とか抜けた。
同じく右肩の灌木に捨て縄巻いて50m懸垂。


達成感も一塩、時刻は14:30を回り急いで下山の準備をする。
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▲今年当会は50周年




■撤収
日曜の午後から天気が悪くなる予報通り、みぞれに近い雪が降り始める。
行きと同じ落とし穴にハマながら熊穴沢出合。踏ん張り所の250m急登。亀並みのペースで尾根に出る。
テントを撤収し下山を開始するころに日没、みぞれに加えてガスも濃くなり視界10m。序盤は行きのトレースを追ったが、徐々に見失いがちになる。
方角間違えずに下ればいずれ尾根は狭まるが草原帯に入ってコンパスぐるぐる回すより、三沢の縁沿いに下った方が確実・安全ということで、三沢の縁沿いに下る。

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▲みえない


ヘッデンの届かない暗闇をひたすら歩き、高度計1,000を指したとき、行きの踏み跡に目印として積み上げた枝木に到着して歓喜。
駐車場への杉林の下降もかなり迷ったが、落葉樹林との境を下降したら台地に出て周囲を見渡したら10m先が車だった。脱力。足は泥まみれ。
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鬼怒川温泉周辺で手打ちそば食べたのち、ガソリンスタンド探しで夜の日光をグルグル。日曜夜だからかほとんど閉まってる。
日野ナビで何とか開いてるスタンドを発見、帰京。阿佐ヶ谷につく頃には日付が変わっていた。


■行程タイム(休憩等含む)
●2/27行程
9:10林道終点発〜9:36踏み跡詰め上げ〜12:00幕営地着〜
12:30偵察発〜(彷徨)〜13:35熊穴沢出合着〜
14:00熊穴沢出合発〜14:40尾根詰め上げ〜15:00幕営地着

●2/28行程
4:00起床〜5:40幕営地発〜5:50下降点着〜6:15熊穴沢出合着〜
〜(ゴーロ帯落とし穴と部分的ラッセル)〜8:20三沢大滝着〜
9:40登攀開始〜13:00登攀終了〜13:30下降開始〜14:30取り付き着〜
15:00撤収開始〜16:00熊穴沢出合着〜??:??熊穴沢出合発〜17:00尾根詰め上げ〜??:??幕営地着〜
18:00幕営地発〜19:30林道終点着

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▲地形図


※FBから転載<初登確認について>
片道5時間半、積雪状態によってはラッセル遅延で拝んで帰るだけ、
あるいは辿りつく事さえできないかもしれない滝ですが、初登確認を
したく、山行記録か登攀写真か残している情報をご存知の方お知ら
せください。

滝見関連記事の他に、登山体系含め沢登り数件は見つけたものの、
冬の登攀情報が見つかりません。
また、今回登った右滝は落ち口からの下降に使う灌木に選択の余
地はあまりなく、そういった灌木に残置物もありませんでした。