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唐沢岳幕岩 大凹角ルート

2012/02/13 8:06 に Taro Inomata が投稿   [ 2012/02/15 4:16 に更新しました ]
2012/01/07-09
イノマタ(記)、スガワラさん、シモヤマさん(山岳同人マーモット)

いろいろ順序をすっ飛ばしてる気がするが、チャンスは逃さない。とはいえオールフォロー、オールスガワラさんリードで、引っ張り上げられる形での冬壁デビューだった。そこにシモヤマのアニキを加え、パワフルなメンツであった。

1/6、信濃大町集合にしていたのでスガワラさんは一足早い電車に乗り込み、イノマタとシモヤマさんは20:00発のあずさ乗車。松本でJR大糸線に乗り換え信濃大町へ向かう。23時過ぎだというのに座席は埋まり、立っている人がいる。しかもスキー客などではなく地元の人々のようで、なんだか都内の電車と大差ない状態であった。
23:57信濃大町へ到着して駅を出ると雪がボタついていた。ふと駅の軒下を見ると転がった酒瓶とミノムシ一匹そこにあり。スガワラさんに二人の到着を告げたが、すぐに頭を引っ込めてしまったため、我々も早々にシュラフにくるまる。

1/7 4:30過ぎ起床。駅のロッカーに不要なものを預け5:30頃タクシーで葛温泉高瀬館へ。途中セブンイレブンに寄る。(2012年1月現在、駅付近にコンビニはない)

6:00葛温泉着。辺りはまだ真っ暗で変わらず雪がボタつく。6:20頃出発。七倉ダムを過ぎ、高瀬ダムへ続く車道とトンネルをただひたすら歩く。作業車両が通るので圧雪されている。
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7:50高瀬ダム着。南南東を仰ぐと谷の隙間に幕岩を見ることができた。ここからは唐沢を詰めるが、ダム下の駐車場に伸びるトレースはない。年始から雪が降り続き、またこの時期にクライマーも入っていなかったようで、ラッセル大会が始まった。ゴーロ帯に降り積もった雪は落とし穴となってバランスとペースを崩し、膝ラッセル腰ラッセルが続いた。
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9:40頃金時ノ滝着。左の顕著なルンゼで巻く。沢に戻ると、高瀬ダムから見た大きさそのままの幕岩だった。自分が一歩進むと幕岩も一歩下がっているような気になった。高瀬ダムからラッセル大会を続けること7時間、幕岩下のワシの滝を左岸から巻き、正面壁を左に眺めながら右上。15:00大町の宿に到着する。
大町の宿は大岩が屋根のように大きく張り出しており、降雪の影響を全く受けず、地面は平らでとても快適な幕場を提供してくれた。天井の岩にはリングボルトがいくつも打たれており、ツェルトはテントと変わらない空間を作ることができた。おまけに残置されたボロロープは物干しになった。
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当初の計画では初日の内にルートに取り付き、行けるところまで行ってフィックスを張っておく予定だったが、思わぬラッセルで時間を食った為、アプローチのみで終えた。風も受けず、そこまで気温も低くなく、大町の宿の快適さに、初めてのツェルト泊であったにも関わらずぐっすり寝ることができた。

1/8 4:30起床。6:00発。空は薄い青空。朝からラッセルスタート。よく寝れたので快調に除雪する。大町の宿の尾根(ルート図で言う所の右稜)をモグモグし、鞍部で登攀準備・不用具のデポする。
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そこから20m程樹林の斜面を登り、雪の斜面を左へトラバース。頭上に顕著なコーナーを見てルートの取り付きである。鞍部から15分程だ。雪に埋まった壁を掘り出してハーケンを探し出しルート上であることを確認したが一本しか掘り出せなかった。1p目登攀スタート
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1P目コーナー上まで:スガワラさんリード
コーナーを目指す。コーナーには人間大くらいの雪の塊がツバメの巣のようにくっついており、その辺りを探っているようであったが、突然その雪の塊が崩落。塊は岩の斜面に落ちるも大きさを留めて転がり落ちてきて、セルフを取って動けないシモヤマさんのわずか右をかすめた。(後で聞く所、氷片を肩に受けていたらしい)
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スガワラさんは幸い落ちることなく、また特に臆することもなく登攀継続。雪の取れたコーナーにカムを決め、右のフェースに打たれたリングボルトを目指すが、チョンボ棒を鞍部にデポしたザックに忘れてきたことに気づき、イノマタはダッシュで取りに行く。(こんな時にも3人は便利だなぁ)
右フェースに取り付いたら、A1で左上。コーナー出口の1本下でプロテクションが見つからなかったようで、スカイフックを取り出した。スカイフックなんてクライミングDVDのビックウォール動画でしか見たことがなかった自分は肝が冷えまくった。
フォローの二人はスカイフックは持参してなかったのでそのまま残置してもらい、コーナー上の小さな棚でピッチを切る。

1P目終了点へ:スガワラさんリード
本来の1P目終了点はそこから6m程右上した場所。薄いベルクラが張っており、アックス・アイゼンは刺しても利いた気がせず、悪かった。

2P目:スガワラさんリード
右上後、大きく弧を書くように左へトラバース。トラバースが始まった辺りからプロテクションは取れず。傾斜は緩んだが薄いベルクラは変わらず、フォローだったがおっかなかった。洞窟テラスが2P終了点。洞窟は雪で蓋がされていたが堀開けるとうずくまれば3人、2人なら横になれそうなスペースであった。
ここで、ビオフェルミンSを服用して腸内がいい意味で活性化していたイノマタは便意をもよおし、テラス脇の雪面でキジを打つ。まぁ、それくらいは安定した場所であった。
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3P目:スガワラさんリード
洞窟テラスを見上げるとまたコーナーである。
1P目と同様、コーナーに取り付き右フェースに移るピッチだ。コーナーをアブミで上がり、スタンスに乗った雪を払って右へトラバース。氷漬けになったリングボルトをこじ開けながらのボルトラダー。フェースからスラブに切り替わるとプロテクションは見つからず、ランナーは一切取られていなかった。改めて、スガワラさんの根性の据わりっぷりを見た。ボサテラス下でピッチを切る。
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ここで時刻15:00。スガワラさんの経験上もかなりコンディションが悪いとのこと、また、この時点で3ピッチにも満たしていなければ翌日でも上まではいけないだろうという判断で、フィックスは張らず、今回はここまでとする。懸垂2ピッチで取り付きに降り立つ。翌日は下山だけとなればサッサと大町の宿に戻って宴会だ。残った酒も飲み干し、何時ともわからない時間に寝る。

1/9 5:00頃起床。外は雪がボタつき、風もあり辺りは真っ白だった。フィックスを残さなくてよかった!吹雪の中フィックスを取りに戻るなんて泣けてくる。7:00トレースが消えるほどの雪ではなかったようで、薄らのこる踏み跡をたどって下山を開始する。
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10:00高瀬ダム着。12:00前に高瀬館着。タクシーを呼んで待ち時間でビールで乾杯。

信濃大町駅近くの七倉荘で風呂にはいって15:05分の新宿行きあずさで帰宅。

今回は自分にとってまったくレベルの違うルートだった。リードなんてとてもできない。でも、また冬にここに訪れる時のために、努力を続けて技術とド肝を磨いておきたいと思う。

以上




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