パックラフト&柄沢山東尾根

山行報告[個人山行] パックラフト&柄沢山東尾根
2026年3月28日~30日 L・記 山正・他1(某大学探検部)
≪行程≫
3/28:10:55 11:30須田貝発電所BT~13:50矢木沢ダム~16:00コツナギ沢バックウォーター~17:00白ビ沢出合△
3/29:4:30柄沢山東尾根取り付き~5:30 1020m~8:50 1429~12:15 1600m~14:45柄沢山△
3/30:5:30出発~7:30米子頭山~9:30巻機山~12:50清水 下山

皆さん、パックラフトはご存じだろうか。パックラフトとは空気で膨らますカヤックのことで、約2㎏、大きさはだいたい厳冬期シュラフぐらいの大きさになる。ある程度の瀬なら突破でき、80Lザックも自転車もスキーも楽々積み込むことができる。つまり、パックラフトを登山に組み込むことで水に阻まれアプローチが困難な場所にアクセスでき、より独創的なラインを山に引けるのだ!

始発で東京から各駅停車で水上駅へ。今シーズン既に3回目の上越線、片道4時間の道のりは何度乗っても暇だ。水上駅についたら湯の小屋温泉行のバスに乗って須田貝発電所バス停で降りた。運転手が「どこに行かれるのですか?!」と聞いてきた。それもそのはず、登山口はおろか矢木沢ダムの管理道は“一応”冬期完全閉鎖、歩行も一切禁止されている。ダムまで片道10㎞の林道を雪山装備+パックラフト、パドルを担いで歩くのはしんどかった。
2時にダムに到着したらパックラフトを膨らませ、荷物を船体に縛る。スロープを利用して水面まで簡単に降りることができた靴を濡らしたくなかったのでザックにしまったのが、これが悪かった。

奥利根湖にいざ出艇

奥利根湖にいざ出艇

いざ漕ぎだしてみると水の冷たさが船底を通して足に伝わり辛かった。今後はこの季節にパックラフトを漕ぐ際は何らかの対策が必要だろう。
奥利根の山々を眺めながらぐんぐん漕いでいく。2時間ほど漕いでコツナギ沢出合のバックウォーターについた。本来ならもっと奥まで水が張っているはずなのだが渇水のため1㎞ほど手前で上陸した。

水深が浅く漕げないため船を降り歩いたのだが、泥に足を取られ膝まで沈む。難儀しつつ乾いた砂の上についたころには服はビショビショ、泥だらけ。

バックウォーターを歩く


そこから砂と泥に足を取られながら二回、沢を渡渉して段丘の上についた。バックウォーターについてから完全に上陸して靴を履くまでに1時間以上も取られてしまった。
幸いなことに暖かかったので足は凍えなかったがもっと寒かったら即撤退になっていただろう。今後は渇水期のバックウォーターは気を付けたい。ウェアも泥水に濡れて満身創痍だったのでコツナギ沢出合にて幕営した。
4時半に出発し柄沢山東尾根に取り付いた。少しだけ藪を漕いで1020mの明瞭な尾根に乗った。スノシューに履き替え広い尾根を登る。8時半に1429m直下の登りに入ると急に尾根が痩せ、雪庇も伸びちょっと怖い。ピーク直下には越えられなさそうな巨大な雪庇が見える。確保装備も持っていないので行けそうもないなと思いながら取り付いてみると右に弱点があったのでダガーポジションで登ることができた。
ここ越えるとひたすらに広大な尾根が柄沢山まで続いていてまるで高速道路、スノシューでどんどん進む。12時には柄沢山東尾根最後の急登直下1600mコルに着いた。


予定だとここで幕営するはずだったが時間も早いので柄沢山山頂まで行くことにした。山頂直下は雪庇が成長し、クラックが何本か裂け、左斜面に雪崩の跡がある。雪の緩む午後であり上まで行けるか非常に不安だったが行けるとこまで進んでみることにした。
しかしいざ取り付いてみると思っていたよりも歩きやすく雪の状態も良くアイゼン
ピッケルがしっかり効く。下から見ると越えられなさそうに見えるクラックも難なく突破することができた。
今日歩いてきた稜線と奥利根の山々を眺め、国境稜線の雪庇も簡単に越えられ柄沢山頂に着いた。山頂にて幕営。

5:45出発。踏み抜きが多くイライラしながら進む。晴れていたが次第にガスに包まれ真っ白に。とは言いつつもメジャールートでトレースもばっちりなので順調に進み7時米子頭山、9時に巻機山に着いた。
巻機山ではガスが晴れ大優勝。本来あるはずのないパドルをザックから出し写真撮影した。登山道を駆け降り、12時半に清水バス停に下山した。


今回、奥利根湖に阻まれアプローチできない柄沢山東尾根を、パックラフトを利用することで登ることができた。技術的問題は一切ないルートだがダムに阻まれ全くと言っていいほど注目されておらず、記録もほとんど見当たらない。沢やスキーを利用した奥利根会越の記録は多くあるがまだまだパックラフトを使った山行は多くはない。
奥利根湖、田子倉湖、奥只見湖、黒又湖がありアプローチが難しい山域ではあるがパックラフトを使うことで自由度は格段と上がる。
沢もスキーも釣りも可能性は無限大だ。このエリアは誰も知らねえ誰も行かねえ尾根に溢れている。来春はパックラフトを担ぎ、奥利根縦断を狙いたい。この活動は今後のパックラフト登山の指針になるだろう。
※(興味ある方はこちらも見てくれると解像度上がります。僕にとってのバイブルです。[夏の会越横断『山と溪谷』 No.969 ]・[スキーラフティング会越縦断]『rock&snow』No.109])

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