セルフレスキュー講習会

セルフレスキュー講習会  TH記
日時:2023年11月25日 9時~16時
参加者:18名
場所:神奈川県立 山岳スポーツセンター(人工壁を利用しての訓練)
講師:服巻ガイド(東京山岳ガイド協会所属)

【搬送訓練 9時~11時】
1-1 背負い搬送
背負う方法は複数類がテキスト等に紹介されているが、結果として下記の2種類が良い。実際の場合、一人が背負い続けるのでなく、途中で交代しながら搬送する。
交代のノウハウも含めてトレーニングを行った。
●ハーネス無しの場合
ザックとストックを利用する。
ザックは中身を空にして、肩ひもにストックを入れる。ストックのままだと痛いので、マットや衣服をストックに巻く。
さらに傷病者が後ろに倒れない様に衣服の袖をザックに固定。(背負う人に衣服を巻くと、背負う人が交代することができない)
●ハーネス有りの場合
ハーネスを装着している場合は、60㎝シュリンゲをザック背負いバンドにガースヒッチで結び、交差してハーネスのレッグループにカラビナで付ける。
そのザックを背負う。
ハーネスを付けている場合は、これが一番良い。また身長やハーネスの位置により、シュリンゲの長さを工夫する。

ザックとポールを使い、背負い搬送

ザックとポールを使い、背負い搬送

ハーネスとザックを連携

1-2 長距離の搬送を交代しながら、チームで総合的に実習
前記の方法で、背負うが長距離の場合、頻繁に背負い人を交代する。チームワークで先導者は、石や枝等の障害物をどけ歩きやすい様に、道を整備や行先のアドバイスなどをする。
また急な斜面や段差では写真に様に手を出し体重移動のサポートを行う。

下りの段差をサポート

1-3 担架での搬送
●ツエルト担架
ツエルトを敷いて、その上にマット、ザック等で敷いて傷病者を移動。地面から熱を遮断するにはマット、ザックを下に敷く。ツエルトは保温にもなる、短距離であれば、ツエルトの横を数人で持って移動が可能。
●ザック担架
空のザックを3つカラビナで連携する。簡単に作る事ができるが、ザックを空にするので中の荷物をどうするかが課題。 また、応用として写真の様に3カ所で吊り下げが可能(岩場等での担架利用).

ツエルト担架:短距離の移動、保温効果もある

ザック3つを連携したザック搬送

【引き上げシステム 11時~14時】
滑落者を引き上げる。広場で1/1、1/2、1/3の仕組みを理解し、その後人口壁横のテラスを利用して空中で引き上げる練習を体験する。滑落等した傷病者を固定、周囲の安全を確認してから1/1引き上げへの切り替え、さらに1/3への切り替を行った。

【懸垂中のトラブル対応 14時~16時】
●“懸垂中ロープが届いていない“、”下降地点を間違えた“しかも空中懸垂中。そこで登り返しが必要な場合を想定し、懸垂下降から登り返しに切り替える。
懸垂ロープにクレムハイストをセットして、下降器にある体重を切り替える。下降器を解除する。
もう一つクレムハイストをセットし、そのシュリンゲに足を入れて立ち上がる、と同時にクレムハイストを押し上げる。自分より下のメインロープに“止め結び”を作り、フリクションヒッチが抜けない様にする。

【所感】
今年、会内でも事故が多いと言える、一年に一度、いろいろな意味で練習を行った方が良いと痛感した。事故を起こさない自分への注意であり、団体としての取り組みでもある。
頭の中では、分かっていても実際の場面では、緊張や焦りでできない事も多い、また情報交換の場でもあるので他の組織との合同や他組織からの指導も良いと思う。

〈感想:MN記〉
この度、東京山岳ガイド協会所属の服巻ガイドをお招きしてのセルフレスキュー講習会に参加させて頂きました。できれば怪我や事故は起こしたくはありませんが、それでも起きてしまうのが現実、その際に少しでも自分で対応できることが増えれば良いなという気持ちで参加してきました。
まずは背負い搬送、ツエルトやザックを連結させて担架を作る方法やロープを束にしたり、空のザックとカラビナとスリングを使って背負う方法などを学んだ。担架を作っての搬送はそんなに広い登山道はあまり無いだろうし現実的では無いと感じた。カラビナとスリングでの背負い搬送については、実際に負傷者役である関根さんを背負わせてもらい傾斜のアップダウンを行いましたが、それほど重さは感じることも無かったし交代要員がいれば何とかなるのかなと感じました。補助員が付けばより安全に負傷者を運ぶことも出来るかも知れない。パーティーの人数によるところだろうか・・・
続いては引き上げシステムの講習、1/1から1/3への切り替えを学んだ。必要な力は1/3になるが摩擦が加わるので実際にはもう少し力が必要とのこと。理屈を理解した上で垂直に引き上げる実践を行った。負傷者役である河津さんを引き上げることを試みたが一人ではほぼ動かない。星野さんにも手伝ってもらい男二人掛かりで引っ張り、時間をかけてなんとか2階まで引き上げることが出来た。僕一人では、きっと小柄な女性一人ですら引き上げるのは難しいことだろう。周りの登山者に協力してもらえば何とかなるかな。
最後に懸垂中のトラブル対応を行った。懸垂下降を行ったが何かしらのトラブルが発生し途中から登り返すというシチュエーションであった。上下にスリングでバックアップを作り登り返すという内容だが、実際にやってみると体力的にかなり厳しいと感じた。訓練ではなく実際に自分がその状況になった事をイメージしてみるとかなり恐ろしいことだ。最初は「そんなところには絶対に行かない!」って思ったが、そう思っていても起きてしまうかも知れない。その時に何もできないよりは講習を思い出して悪あがきした方が良いだろう。翌日、そう思い直して自分の装備を見直すとバックアップに使えるスリングは1本しか無かったので、ネットでスリングをポチっとしました。今は技術が追い付いていないけど、とりあえずは道具からね(笑)クライミングって本当にお金がかかる(泣)
今回の講習で習ったことは難しい内容ではあったが、振り返ってみて、今の自分にも何とか出来そうなこと、これから努力すれば出来そうなこと、多分出来ないだろうこと、それらが何となく分かっただけでも良い勉強になりました。熱心に指導していただいた服巻ガイド、企画をして頂いたTHさん、ありがとうございました。

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