例会山行 妙義集中

例会山行 11月妙義集中
2023年11月11日、12日 Lたもん、MN、KH(記)
〈行程〉
11月11日(土) 国民宿舎 裏妙義0635~丁須の頭0800~烏帽子岩1130~国民宿舎 裏妙義1340
11月12日(日) 妙義神社0700~大の字0730~大のぞき0845~白雲山0925~相馬岳0950~中之岳1300~中之嶽神社1400~妙義神社1525
〈記録〉
11月10日深更、国民宿舎 裏妙義のエントランス前に張られた大型テントの中で簡単な乾杯後、各々のシュラフを広げ星空のもと早々と就寝。翌朝6時半、たもんさん・MNさん・私からなるチームで歩き始めた。徐々に明るくなる青空のもとしばらく歩くと、早速最初の鎖場。冷たい鎖を持つ手から、裏妙義という山域にいることへの実感が強まる。差し込んでくる朝日を背に受けながら岩を掴み、次々と現れる鎖場を横切りつ登りつ行くと、T字の奇岩、丁須の頭を真上に見上げる取り付きに到着。この岩場にて懸垂下降の実地練習が行われる。
ロープで確保されているとわかっていても、体重を岩と正反対の空間に預けることに体が恐怖を感じてしまう。MNさんは、実地は初めてのはずだが、スルスルとバランス良く降りて来る。都内のジムで秘密特訓をしていたらしい。何度かの練習を経て、意を決しアタック。軽々と先に行くたもんさんはすぐに見えなくなり、既に丁須の頭の上に立ったらしい。天上から自分を呼ぶ声が風のまにまに聞こえてくる。T字の形状により最初の足の取っ掛かりがなく、戸惑いが先行するが、気持ち跳躍気味にがむしゃらに、目の前だけを見てよじ登る。気づくと暖かな日差しのあたる岩上に立つことができていた。そこからの景色を堪能したのち、懸垂下降で降りるのだが、ぶら下がってみたものの途中から足場がない。初めての空中懸垂は緩やかに回転しつつ、どうにか地に足をつけることができた。その後は三方境の分岐から国民宿舎へと下って行った。

この日の夜、CO・KOさんが合流。裏妙義ルートを降りてきた我々とともに、妙義湖に流れ込む穏やかな河原にテントを設営。たもんさん特製鍋はフライパンで焼き色を付けた鶏肉に、キャベツと椎茸を投入し鶏ガラで長めに煮込む。キャベツがトロトロに柔らかくなったら食べ時で、すり下ろした大根と特製ポン酢、お好みで善光寺の七味を。緊張と疲労が癒される優しい味に各々大いに箸が進み、せせらぎを聞きながらの暖かな川辺の宴となった。

二日目はたもんさんに導かれ表妙義の縦走。妙義神社から登山口へ入り、大の字を目指す。遠くからでも目立つこのモニュメントは、妙義大権現を表すという。ここを過ぎて間もなく「キケン上級コース」と書かれた岩が出現。そのぶっきらぼうな黄色スプレーによる注意書きに緊張感が増してくる。歩を進めていくと、奥の院の遥かに見上げる岩の取り付きに対面。いよいよ来たかと心を決めて、先行する背中を追って登っていくと、意外にも気持ちが安定している自分に気が付く。ビビリ岩、背ビレ岩と続く峻嶮な道のりを恐る恐る手に汗握りながらも、楽しんで通過していくことができた。
相馬岳のピークを踏み、所々ザレた尾根を絶景に見とれつつも足元に注意をしながら歩いていく。両サイドが切れ落ちたスリリングな道から展望する、岩苔と紅葉した低木に覆われた岩稜は妙義特有の美しい景色で、見とれているとまったく危ないと言ったらない。そして、遠くに見えていた鷹戻しが近づいてくる。朝、妙義神社の階段を登るときにまた頭によぎった不安は、この名を冠した場所の印象が大きな原因だったと思う。ここを踏破出来たら、何かがステップアップする気がする。そんな気持で鷹戻しを見上げて、ハーネスにロープを結び、いざ挑戦。鎖を握る手に力がこもり、汗も分泌が速いようだ。横目に見る絶景を嚙み締めつつも意識を集中してよじ登っていく。爽やかな風を感じて、意外にも手になじむ岩肌を掴みながらの登りは、気づいたらあっという間で、恐怖感と心地よさが隣り合った不思議な瞬間だった。
中之岳神社への道をだいぶ降りていったところで、一般ルートと隔てるビニールテープをくぐると、空気が変わった気がした。ハーネスやPAS、ATCを持たない、ハイキングに来た人たちと挨拶を交わす。地元を代表する山として、小学校の遠足で初めて足を踏み入れて以来、初詣をはじめ年に何回か家族や友人と妙義神社に行き、時には石門巡りなどもしていた。そして、この奇岩怪石の山を見上げては、その危険な稜線をゆく人たちを奇異と憧れの目をもって眺めていた。妙義集中の二日間を終え、あらためて正面から仰ぎ見る妙義山は何も変わらずに美しいけれど、自分は少し変わることができたのかなと思った。

丁須の頭をのぞむ

丁須の頭をのぞむ

2.丁須の頭へ

3.なんとか登り切った~

 

4.快晴の稜線歩き

5.懸垂下降でするする

6.ここからキケン上級コース!

7.背ビレ岩を通過

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