裏越後三山周遊

2022430日~53日(山波445)  YO(記)、KK(俳句)

430 晴時々曇り 朝まで雨

〈行程〉8:00銀山平(白銀の湯の隣)~11:30蛇子沢左岸尾根1256m16:301649m

 ラジオを聞く限り、日本中で雨が降っているのはこの辺りだけらしい。雨が止むのを待ち、8:00に駐車場を後にした。

 トレースはない。適当な所から蛇子沢左岸尾根に取り付く。標高1000m付近で、左の尾根からトレースが合流。このトレースは途中で途切れていた。昨日、日帰りで途中まで登ったものだろう。

 今年は雪が多いから、もしかしたら藪漕ぎなしで行けるのでは……と期待していたのだが、甘かった。1256mピーク手前から本格的な藪漕ぎとなった。昨夜の雪が積もった木々の枝を掴むと手袋が濡れる。はずして絞ると黒い水が出てくる。所々藪が切れ、雪渓に出て解放感を味わうがそれも束の間。すぐにまた藪に阻まれて……5時間の格闘を終え、1649mピークに設営した。雪庇が怖いので、西側の斜面を少し削って張った。

初日の一句: 雪切れに 汗滴りし 藪禍かな

51日 曇り後雪

〈行程〉5:10蛇子沢左岸尾根1649m7:40荒沢岳~9:00灰吹山~11:20灰ノ又山~11:40コル

 行く手を見上げると、見える範囲で藪漕ぎがまだ3カ所ある。憂鬱だ。途中で右側の傾斜45度ぐらいの雪壁に逃げる。途中にクラックが入っており、そのうちこの雪渓も落ちるのだろう。夏道に合流すると藪もすっかりなくなり、快適な歩きとなった。

 荒沢岳手前に荷物を置いて山頂を往復する。灰吹山方面はガスがかかりやすいようだ。積雪は2m以上ありそう。灰ノ又山あたりで湿った雪が降り始めたので、時間はまだ早いが、源蔵山とのコルを2晩目の幕営地とした。

2日目の一句: 春霰 遠くのままに 駒の峰

52日 晴れ時々霧 夕方前から雪

〈行程〉5:00コル~5:45源蔵山~6:30巻倉山~9:00兎岳~10:00小兎岳~14:00中の岳~14:10避難小屋

 湿雪がだいぶ積もった。15cmぐらいだろうか。29日にも積もっているので、GW特有の薄汚れた雪ではなく真っ白な雪が目立ち、正月の山みたいな雰囲気だ。

 日が昇る。ピラミダルな荒沢岳の姿が美しい。源蔵山を越えてから兎岳までが意外に長く、テント場から4時間を費やした。

 兎岳手前では霧に巻かれ、何も見えなくなった。左側にわずかに見えている、丹後山からの主稜線を頼りに、コンパス片手に適当に進むと山頂に着いた。登りだからいいが、下りだとこの方法は難しい。

 ここから北上。幾つもの小ピークを越えて行く。アンチスノープレートが付いているにもかかわらず、アイゼン団子がひどい。一歩歩くごとに落としている、といっても大げさではない感じ。

 1936mの手前で傾斜60度ぐらいの雪壁を登り、中の岳2085mに到着。今回の山行の最高到達点だ。もう少し先へ進みたかったが、この後の悪天を考え、避難小屋に泊まることとした。

 午後3時ごろから天気は急速に悪化し、嵐となった。小屋泊として正解だった。銀マットや毛布もある。1階にトイレもある。とても快適だった。

3日目の一句: 避難小屋 横臥眺めて 春吹雪

53日 曇り時々雪 晴れ

〈行程〉7:30避難小屋~14:20越後駒ヶ岳~16:50小倉山~18:00道行山~21:30銀山平(白銀の湯の隣)

 今日は行程が長いので4:30出発を予定していたが、天候がいっこうに回復しない。あまりのんびり待ってもいられないので、少し明るくなったということで、7:30に出発した。

 視界はあまりよくない。森林限界より上だったら行動は難しい感じだが、この高さであれば、植物を目印に何とか歩ける。

 昨夜もまた15cmほど積もった。昨日より深いラッセルで時間がかかる。檜廊下のあたりは両側切れている所もあって緊張する。中の岳~越後駒の稜線は、昨日までの観察によると天候の回復が遅い。この日もにわかにあられが降った。それでも昼頃には回復するものと期待していたが、越後駒山頂に着く頃になっても、まだ回復しなかった。

 越後駒山頂手前でトレースを発見。後から聞いた話だが、中の岳方面への縦走を試みたが諦め引き返した人の足跡だった。

 越後駒山頂で、この山行で初めて他人に会った。山スキーヤーで、ガスが晴れるのを駒の小屋で長いこと待っていたが、ちっとも晴れないので登ってきたという。オツルミズへ滑り込もうと考えていたが霧が晴れないから……と話していた。

 ここからはトレースがたくさん。相変わらず視界は悪いが、トレースに沿って下りれば安心だ。駒の小屋よりさらに下ってやっと霧が晴れ、天気も徐々に回復。藪漕ぎに苦しめられた尾根、荒沢岳、兎岳、と周回してきたルートが良く見える。

 途中で日が暮れ、きれいな二日月が輝いた。最後は冷えて硬くなった川沿いの雪道をおっかなびっくりちょっと滑ったりしながら歩き、さらに車道を20分歩いて、3日前のスタート地点に戻った。やけに冷え込んできたと思ったら、温度計が0℃を指していた。

 翌日、体重計に乗ると体脂肪率9.7%。一桁台は初めて。結構大変だったということかなあ、と思っている。

最終日は二句: 繊月も 微笑む雪の 下山道

          下山後の ほっと仰ぎ見 大熊座

  1. OLYMPUS DIGITAL CAMERA

    中の岳避難小屋にて。快適

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