山形県と新潟県、福島県にまたがる飯豊山地。
その北部に位置する200名山朳差岳の直下に、朳差避難小屋がある。
辺りは高山植物の宝庫で、特に雪解けすぐに見られるというハクサンイチゲのお花畑は一見の価値があるという。
これは、梅雨の合間を狙って朳差避難小屋を訪れた時のお話。
一行は新潟県の奥胎内から続く足の松尾根を5時間かけて登り、疲れきった体で大石山から鉾立峰、朳差岳へと繋がる稜線を歩き終え、ようやく二面切妻二段勾配屋根が特徴的な朳差避難小屋へたどり着いた。
誰もいない小屋の2階に陣取り、お約束の宴会は、途中休憩を挟みながら午後2時から7時までたっぷり続いた。いつの間にか1階に数パーティが訪れていた。
酔いがピークを迎え、前夜の睡眠不足も合間って睡魔に襲われた我々は、めいめいにシュラフを広げ、いつの間にか夢の中へ。
その声が聞こえたのは、眠りが浅くなりつつある深夜2時ごろであった。
「ちっ、血だー‼」
(え?出血?)驚きながらもシュラフの中でしばらく様子をうかがった。
5分後
「おい、大丈夫か?」
(誰か負傷したの?)心臓がバクバクしながらもまだシュラフの中で我慢。
さらに5分後
「わ、うわー!」
(だから何ー?怖いよ〜)もう泣きそうだ。
10分後
「ちがーう!(俺じゃない!)」
(ん?犯人探し?)気になって眠れない……。今日も寝不足だ。
翌朝、声の主に事の真相を聞いてみたが、どんな夢を見ていたかは不明であった。
そう、これはY氏の頭の中で繰り広げられた事件。そして寝言である。
毎度分かっていても、いちいちびっくりしてしまい、連泊する山行では眠れない夜が続く(涙)。
さて、朳差岳へと続く稜線上からは、徐々に濃くなりつつある緑と残雪のコントラスト、そして色とりどりのお花のコラボレーションがあまりにも見事で、5時間に及ぶ足の松尾根の急登も忘れさせてくれるほど。
翌朝のご来光も素晴らしく、最高の2日間となった。
1スタートは雨
2学生時代のホームに戻りご満悦のY氏
3終わりかけのハクサンイチゲ
4飯豊の空とヒメサユリ
5日本固有種らしい!ミヤマキスミレ
6花をつけるのは葉が6枚!ゴゼンタチバナ
7日本を代表する名花!シラネアオイ
8岩に生えていないのに……イワカガミ
9実がツバメの頭に似ている?ツバメオモト
10西沢渓谷でよく見かけた!サラサドウダンツツジ
11別名ムシカリは、虫が好むから?オオカメノキ
12田植えの頃に咲く!タニウツギ
13雨で下向いちゃったイワウチワ
14鶴が舞う姿に似ている?マイヅルソウ
15カタクリも雨でダウン
16ナナカマドも花咲く頃
17白いのに……アカモノ
18羽後地方に生えるウゴツクバネウツギ
19千鳥足がいっぱい!ハクサンチドリ
20朳差岳の山頂でご来光をバックに
21反対側には影朳が!
22事件のあった朳差小屋へと続く気持ちのよい稜線
※花の名前は筆者調べです。違っている場合はご容赦ください。