個人山行:幽ノ沢正面壁左方ルンゼ

2021年3月7日 (山波440号) HG(記)、他会1名

0300出発予定だったが少し出遅れる。センターからのトレースはバッチリ。締まっておりワカン、アイゼン無しでok。一ノ倉出合から先は本日朝のものと思われるトレースありラッキー。幽ノ沢出合いの吹き溜まりで積雪多ければ、一ノ倉烏帽子の南稜か凹状に転進予定であったが、吹き溜まりで10cm弱だったので、一先ずノコ沢出合いまで進む。
昨日土曜の降雪(みぞれ?)が心配されたが、SCWで見ていたとおり10時間弱降ってはいたようだが、降り方が弱くて殆ど積もっておらず。おまけに本日は晴れるものの冷え込む予報で、ルンルンモードが期待される。カム、アブミ、ストック、ワカンをデポし、正面壁左方ルンゼへ向かう。一ノ倉沢出会いで抜かした先行Pも幽ノ沢と言っていたが、歩みがかなり遅く追い付かれる心配は全くなさそう。デポ中に左俣から2人Pが下りてきたので話を聞くと、3ルンゼ狙いだったが、スノーシャワーが、、稜線は天気悪そうで、、スラブが露出していて、、と言っている。日の出の1時間前のこの積雪量でスノーシャワーが出るとは考え難く、見上げる稜線は雲一つない快晴、この時期に部分的にスラブが出ているのは織り込み済ですが。。。
素人なのか、最近本チャンルートでこの手の人たちを見かけることが多く、いろいろと心配させられる。彼らは日和ったのか、やる気が出なかったのかよくわからないが、我々は気にせず右俣へ。取り付き下のシュルントから日の出とともにアンザイレン。シュルント上は雪が落ちてスラブが露出している、ベルグラっぽいが、近づくと使えそうにないので、コンテシュルントを左から越え藪とスラブのコンタクトラインに溜まった雪を拾って大滝取り付きまで行き、引き続きコンテで大滝1P目を登る。大滝取り付き手前のしっかりした氷塊でスクリューがきまったので、そこで途中から一応、Nさんにビレーしてもらう。
2P目で大滝を越え段差の下で切っていた。以後つるべでコンテ。段の上にでると右に屈曲してルンゼがつづいているが、乗越の傾斜がきつそうなのと、乗越の雪庇が崩壊しそうで危ないので、左の中尾根に上がる。途中でバーチカル木登り、ナイフリッジ、ピナクルからちょっと怖いクライムダウン等交えて、中尾根正面壁枝尾根JPへ。ここまでの中尾根の区間、尾根上で雪がグサグサで慎重に行った為、時間を食ってしまう。JP直ぐ右上の雪壁は隠れたグラインドクラックが多くてスノーバーでランニング取りながらコンテで越える。越えると大岩の下の巨大シュカブラが良い休憩ポイントになっていた。この先は傾斜が緩むが相変わらずクラックがあるので、一応コンテして稜線まで抜けた。快晴無風の中、絶景を満喫しながらロープを畳んで小休止。
今年は標高1100mくらいより下は側面が底雪崩済だが、それより上はまだ全然デカい雪崩は出ていない模様。積雪量は例年並みか。堅炭尾根下山中には左手の芝倉沢でスキーヤーが3名ほど滑っている。シュプールも多いので今日は大盛況だった模様。βルンゼからクライムダウンもできそうだが、シュルント警戒で一応懸垂。50mするとちょうど次の支点があったので、もう50m。堅炭沢へはダイレクトにクライムダウンするとかなり傾斜が強いので、一旦K0峰基部側にトラバースしてからクライムダウン。
この辺でヘリがしつこく上空を飛び回っている。後で知ったが、芝倉沢で滑落による遭難事故があったそう。ノコ沢に入ったあたりから雪が腐ってきてペースが落ちる。ノコ沢出合でワカンストックを装着し、ほぼノー残業で快適にセンターまで戻ってきた。今回は手慣れたパートナーと一緒だったので、お互いを気にかけすぎることなく、山を満喫できた。感謝。

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